シトランのライバルシャトーのひとつで、やはり10年くらい前からかなり進歩してきており、毎年生産者販売分が全て樽熟成中の段階で、しかも1Weekで完売しています。
このシャトーでは毎年冷却マセラッションを行っています。冷却マセラッションというのは収穫してきたブドウをタンク内で4-5℃くらいに冷やし、そのままの状態で1週間から2週間位漬けておく作業です。1990年ごろから研究が盛んになってきましたが、この作業の特徴はブドウの持つアロームを最大限に引出すことができます。難点はやりすぎるとタナンのバランスが低くなり、骨格を壊す可能性があることです。私も94年と96年に行いましたが、早期段階での効果は驚くものがあります。特に若いうちからおいしく飲むこともできるので長期保存が難しくなってきている現代社会にはマッチしているかも知れません。
場所的にはサンテステフ地区のさらに北部、原産地呼称オーメドックの中でも最北部に近いところ、ソシアンドマレーの隣に位置しています。
現在は黒に近い引締まった紫色をしており、その濃厚さからすぐにブドウの充実した熟成度合いが伺えます。密度の濃いフルーティさが鼻に押し寄せ、その中にミントや甘草、あるいはナッツの香りがバランスよく感じ取れます。早い段階から美味しく飲めますが、いわゆる一般的な「飲みやすい」ワインとは一線を引きます。いわばアルコールの入っていない良質なブドウジュースを飲んでいるような感覚があります。エレガントでありながら骨格がしっかりしているため、口の中に勢いよくアロームが拡がってきます。きめ細かく、しっかりとしたタンニンを含めて、良いワインのひとつの個性的な「かたち」を持っています。 |